by gones~ロジャー・フェデラーの言葉

"by gones" = 「前向きに!」 テニスプレーヤー、ロジャー・フェデラー語録。完全なるファン目線です。

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《番外編》 スイス旅行~デビスカップ観戦(後編)

前回から、昨年のスイス旅行回顧録を始めました。 本日後編です。

 

到着から3日目にして、初スイスの割には私馴染んでいるんじゃ?なんて思いながら、いや、思えば出発前から、スイス人(要するにロジャー)と私たちって似た感覚持ってるかも、と(無理やり)思えるエピソードが結構あったよ・・・と前置き長くご紹介したところで、いよいよ会場でロジャーのプレーを目の当たりにした感想に入ります。(遅い)ちなみにプレーや試合の解説はしていませんけども。(え)写真は多めです。

 

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目の前でウォームアップが始まった時は、本物だ、という興奮がありながら、テレビで見るのと同じフォーム、動きをしてる、と少し冷静な自分もいた。

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1日目のシングルスは、スタンのあとにロジャー。スタンがフルセットで予想以上に紆余曲折して勝った後の登場だった。スイスの観衆は、スタンのアップダウンに合わせてかなり白熱した。会場も、スタンが勝ち切っていったん一息入れた感をそのまま引きずっていたかもしれない。ずいぶんと落ち着いた会場になった(笑)

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その雰囲気で、私も冷静に見れた部分もあったのか、ひとつひとつ、目に焼き付けなくちゃと思って気持ちを静めようとしたのもあったのか。目にも焼き付けたいが、写真にも残したい。でもロジャーはとにかく速い。速すぎてブレブレになるか、すぐフレームアウトされてしまう。こんなところで速さを感じることになるとは(笑) 速いと言えば、この年の夏に生まれたスーパーリターン、sabr (sneak attack by roger) も何度か目にすることができた。成功は・・・あまりしていなかったかな。

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今回の相手はオランダだったが、ロジャーとスタンが両方出場する時点で、選手のランキングにも差があり、最初から普通にやれば勝てる、という雰囲気だった。なので、それほど試合に緊迫感はなく、全米オープンの直後ということもあり、正直ロジャー疲れてるかな、という様子も見えた。2日目のダブルスはスタンが怪我で出られなくなり、ロジャーとマルコの幼なじみペア。もちろん一緒に勝てれば申し分なかったけれど、それは叶わず。途中マルコサーブのとき、1stか2ndかでロジャーは前後にポジションを変えるのだが、あれ?次は2ndだから・・・えーと・・・?と何度も迷って行き来していた。やっぱりちょっとお疲れモード?フルセットで惜しい負けだったが、どこかで、3日目シングルスで勝つからそれで許してね~というのがロジャーの中にあったのではないだろうか。

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あくまで想像でしかないけれど、相手が超強豪ではないという状況の他に、スイスというホームならではのリラックス感もあった気がした。ロジャーは、どこの国で試合をしてもホームになる、と言われるくらい世界中のファンに大人気だが、各国から詰めかける熱狂的なファンよりは、自国のファンは落ち着いているのではないか。単に、自分の国の選手だから応援している、というケースもあるだろうし。もともと自然体なロジャーだけど、そんな自国ファンが9割がたを占め、幼なじみや親しい仲間たちとプレーできる今回の会場では、より素になれて、ほっとできて、リラックスできるのかな、と思ったりもした。

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そんなわけでベンチ後方席で彼らの後ろ姿を眺めながら、この3日間の幸せをもう一度かみしめる。そして、ツアーで、グランドスラムで、さらに緊迫した試合を戦うロジャーもliveで見てみたいな、という欲も出てくる。ロジャーとスタンのフェデリンカダブルスがなかったのは少し残念だったけれど、2014年の優勝の余韻がたくさん残ったこの会場で、"BREAK" と "HOP SUISSE" が裏表になった例のハリセン応援ボードを掲げて周りに溶け込んだ気になってみたり、優勝杯と写真を撮ったり、何より3日連続でロジャーが見られて本当に至福の時だった。

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最後にスイスチームのジャージを記念に買う。会計をしてくれたお兄さんが、おまけでスイス国旗の十字つきのバックをつけてくれた。見たところ他のお客さんにはそんなことはしていない。ああ、これはもしかして、カード使える?とか、日本から行くよ、とかさんざんツイッターで送ってたから、この会場ではめずらしいアジア系の私たちを見て、あの質問してきてた日本人じゃないか?とわかってくれたのかな、なんて、ほらやっぱり気配りがステキだ、なんてにやにやしながら、会場をあとにした。(完)

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《番外編》 スイス旅行~デビスカップ観戦(前編)

今回からは番外編、ということで、昨年のスイス旅行回顧録を写真とともに綴ってみたいと思います。2015年9月18日から20日まで、スイス・ジュネーブで行われたデビスカップ(国別対抗戦)を見に行ってきました。初ロジャー、初スタン、初スイス。スイスに行っているのに定番の山岳方面にはいっさい行かず・・・(でも街はちょっと観光したんですよ、苦笑)まずはメインイベント、デ杯のお話です。(前・後編)

 

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日曜日のdead rubber、幼なじみ3人衆が談笑している横で、弟分はスマホをいじっている。試合が終わって、リラックスムード。

3日間のデ杯が終わってしまう・・・という寂しさと同時に、何とも穏やかに流れるこの時間。この心地よさは何だろう。勝ち抜けが決まった安堵?3日続けてロジャーの試合を見れた満足感?こうして自分の試合が終わっても後輩の応援に出てきた姿を見られた嬉しさ?それとも、この会場に足を運んでもう3日目という慣れ?かなぁ・・・

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私は、自国ではない国を応援するために、十数時間もかけてスイスまで国別対抗戦を見に来てしまうような、あイタタタなファンなので、ロジャーの故郷であるスイスに、「慣れた」感を出したかったのかもしれない。3日目にして、もう馴染んじゃってるよ、という多少無理めな感覚などを。それは今に始まったことではない。思えば結構前から、そうだよね、わかるわかる、私たちって感覚似てない?からの、やっぱりスイス好きだわ~の流れができていた。

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あれはスイスに来る半年くらい前、スタンの地元の雑誌が、スタンのお誕生日特集を組んだ。各選手やコーチからのお祝いメッセージの中に、もちろんロジャーのそれもあった。ネットで買えるか検索していたところ、どうやら定期購読を申し込むしかなさそうだった。そこでダメ元でその雑誌社に1冊だけ買えないか尋ねてみたところ、なんと、タダで送ってくれるという返事が来た。もうここで十分嬉しかったのだが、その後のメールのやり取りもとてもスムーズで、しばらくすると、その担当者が休暇に入るので別のスタッフに引き継いでおいたよ、という連絡が来た。日本に1冊タダで送る件、なんて、後回しにしてもいい案件に違いないのに。それまで色々な国の人たちと仕事で関わる機会があったが、いつのまにか担当者が辞めていたなんてのはしょっちゅう。電話したらスタッフ皆で外にバレーボールしに行っちゃったから誰もいないと言われたこともあった。日本人と同じと思ってはいけない、むしろ日本人は働き過ぎだよね、と何度も思わされてきたのに…あれ?同じ感覚でもいいのかな、と思った瞬間だった。

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この旅行のためにたくさんの下調べをした。ツイッター上で、会場でグッズ販売を管轄している会社に、カードは使えるか?と聞いたり、Swiss Tennisには、「準備万端で~す」と、応援ネイルの写真を送ってみたり。 

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あげくの果てにはチューリッヒ空港のアカウントに、空港のcredit suisseのバーチャルロジャーはどこにある?と質問したり。(結局arrivalのターミナルが違ったのでロジャーには出会えなかったのですが、これです↓)すべてにちゃんと反応があった。この一連のやりとりにもしっくりきた。

 

デ杯を見に行こうと決めたのは、シルバーウィークで続けて休みが取りやすかったことの他に、やっぱり前の年のスイスデ杯優勝に感動したあとだったから。本人たちもスイスにとっても狂喜乱舞な出来事に間違いはないのだが、印象深かったのは、表彰式の彼らの姿。どことなく控えめな感じがした。決勝はホームではなかったし、27000人収容の巨大な会場を埋め尽くしていたのはほとんど相手フランスの観衆、という状況ももちろんあったけれど、仲間内でかみしめるような、それでいて誇らしさが内からにじみ出ているようなあの姿。これにも、なんとなく通ずるものを感じた。

 

その誇らしげな笑顔を見合わせて、チームでデビスカップを掲げる大きな写真が、会場のあちらこちらに掲げてある。1日目にこの会場に着いたとき、駅を降りてpalexpoの会場名とともにこの写真が目に入った時の、ほんとに来た、来てしまった、という気持ちは忘れられない。一気にテンションがあがり、足早になったのを覚えている。この会場は2014のデ杯準決勝が行われた場所。決勝進出を決めて、ロジャーが肩車された場所。この場所で、私にとって初めてliveで見るロジャーのプレーだった・・・(後編へ続く)

 

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(最後に、2014準決勝から)

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the day will come~2015.6.29 CNNインタビュー その6

その5は怪我についてでした。 

 

その6でこのシリーズ最後となります。引退についてです。しょっちゅう聞かれてます。それはもう何年も前から。

 

        

 

偉大なビリー・ジーン・キング(女子テニス界のレジェンドです。現在72歳)は、あなたのテニスをバリシニコフらのバレーダンサーになぞらえて表現することがある。もちろんバリシニコフはもう引退している。あなたも、ラケットを置くときが来たと、考えることはある?

(Interview by Christiane Amanpour, 今回抜粋個所は、6:09頃から)

 

I think hopefully never, really, you know. But maybe on a professional level, you have to eventually because the body or the mind will just say, you know what, it's been great but let's do other things in life as well because it's only a short span of your life. But let's make the most of it. And then I hope I still play for fun with my friends, with my kids, with my wife in the future. So I'll never probably really retire. But the day will come and I'll be totally happy probably doing that as well.

 

できればそんなことは一生考えないで済めばいいと思うよ。でも、恐らくプロとしては、いつかはそうしなきゃならない。心や体が告げるときがくる、すばらしいテニス人生だった、だけど、そろそろ違うこともしようか、とね。現役時代は人生の中の短い期間でしかないけど、できる限り充実させて、そのあとは、できれば友人や、子どもたちや、妻と、楽しみでプレーはしたいと思うよ。だから、完全にラケットを置くということにはならないかもね。でも、引退の日はやって来る、そしてそのときには心から満足してそうすることになると思うよ。

 

2016年、シーズンのほとんどを欠場という、苦しいシーズンを迎えている今を含めても、チームとの話し合いの中に引退に関する話題は一度たりも出たことがないと、コーチのセヴェリン・リュティがつい最近も話していました。引退考えてる?まだないよ。の問答が定期的に繰り返されるのですが、私たちもその度にホッとはするものの、もう近ごろは、いちいち聞かなくていいよ、という気分にもなりますね(笑)

まだまだまだまだ(祈)

今回がシリーズ最後ということで、改めて動画を見直してみると、引退話の時でさえ、本当に穏やかな笑顔でしゃべっていますね。英語をただ読むよりも、顔を見ている方が伝わってくることがあるなあ、なんて、思ってしまいました。

まずここまで、お付き合いありがとうございました。

 

 

a lot of right decisions along the way~2015.6.29 CNNインタビュー その5

その4はご両親についてでした。 

その5はキャリアにおける、怪我についてです。これは2015年のインタビューなので、まだ今年初めの膝の手術を経験する前のこと。終わってみれば6つのツアータイトルを獲得し、2つのグランドスラムで決勝に行った2015年でしたが、今年は、大事にしていた4度目のオリンピック出場も断念し、ウィンブルドン以降の大会をすべて欠場、キャリア初と言える怪我に苦しみながらのシーズンを送っているロジャー。改めて今聞くと、ちょっとほろりとしてしまいますね。

 

         

 

下の世代も出てきて、あなたはもう年長と言われるかもしれないが、結果を出せると証明してきている。技術的なことだけでなく、自己管理やフィットネスにおいても、ライバルが幾度となく怪我に悩まされる中、あなたにはここまで長くプレーし続けるすべがあるようだけど?

(Interview by Christiane Amanpour, 今回抜粋個所は、1:27頃から)

 

Yes, that's the thing. I've been somewhat lucky as well to stay injury free, because you can always get unlucky and break something, tear something. And that just goes with -- it just happens. So for me, I've never had to have surgery; I've never had an injection. Having to play with painkillers; fine. I've had to do that. But other than that, it's been very much focused on healthy lifestyle, enjoying the traveling, the practice, the matches, having the right team around yourself. My wife's obviously been the rock behind it all. She's been with me throughout my first title until today. So she's incredibly important. So just looking at all these things I've done probably -- taken a lot of right decisions along the way.

 

そういうことだね。それに、怪我なくキャリアを過ごせている僕は幸運だと思うよ。どこかが折れてしまう、断裂してしまう、というアンラッキーなことは、いつでも起こり得ることだからね。そういうことはつきものだから。僕の場合、手術をしたことも、注射を打ったこともない。痛み止めを飲んで試合をしたことはある、そのときはそうするしかなかったからね。でもそれ以外には、健康的な生活をして、旅を、練習を、試合を楽しむこと、自分のそばには、適切なチームを置くことに、ただただ力を注いできた。妻はすべてにおいて大きな支えだよ。彼女は僕が最初にタイトルを手にしたときから今までずっと一緒なんだ。だからとてつもなく重要な存在だよ。こうして今までやってきたことを全部振り返ってみると、その時々で正しい判断をしてきたんだと思う。

 

2016年2月、膝の半月板損傷により初めての手術を経験します。それまでしないできたことがどんなに幸運だったか、と度々話をしています。だから最初に手術が必要と聞いたとき、どこかで自分には無縁だと思っていたものが現実になりショックだったとも。そして、これまでがラッキーだったのだから、と受け入れて、長期間休むことを決断。「その時々の正しい判断」が、今年は今まで以上に必要だったかもしれません。でもその決断の裏には常に、今後のキャリアを少しでも長くするため、という最優先事項が見えました。それが、ファンにも希望の光となっています。

いやしかし、ミルカ様が登場しますね~そこそこ唐突と言えなくもない流れで、笑。いつだってミルカミルカなロジャーです。

 

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very realistic about my chances~2015.6.29 CNNインタビュー その4

その3は、奥様と双子の子どもたちについてでした。 


今回は、ロジャーのご両親について話している部分です。

 

           

 

現状、テニスをやっている多くの子どもたちにはプレッシャーがのしかかっていて、コート上で泣いたり、カッとなったり・・・あなたもちょっとそういう時期があった、ということだけど(※その2でもそのような話をしています)ご両親に追い込まれて、ということではなかったんでしょう?

(Interview by Christiane Amanpour, 今回抜粋個所は、5:05頃から)

 

I think we were very realistic about my chances. We didn't believe that I was going to be a successful professional tennis player -- maybe a successful junior on a local or national level, yes, fine. But not internationally, really competing at Wimbledon to win.
So for my parents very much just strict in the sense that it's supposed to be a privilege to go to practice and go to matches on the weekends. So please put in your best effort, just like for us, you know, because it does cost money. And it's our time. Otherwise we'd rather spend it with your sister or our friends and you do the things at home around the house. So I got that message eventually and I understand very clearly what she meant because I have kids of my own now and of course when you put in the effort, you at least would like your kids to give you their best effort as well.

 

僕の可能性を、とても現実的に見ていたんだと思う。まさかプロのテニス選手として成功するなんて・・・。ジュニア時代なら、もしかすると地元で、あるいは国レベルではまあ結果を出せるかもしれない、だけど国際大会で、ましてやウィンブルドンで優勝を争うような選手になるなんて思ってもいなかった。両親からすれば、単純に厳しい目で、週末に練習や試合に行けるのは恵まれたことなんだから、私たちだってそのために力を注いでる、だからあなたもできる限りの努力をしなさい、ということだったんだ。なぜならそれにはお金もかかるし、両親の時間を使っているんだからね。一生懸命やらないなら、その時間で両親は僕の姉や自分たちの友人と過ごせる、僕は家のことを手伝えばいい。やがては、それがどういうことなのか理解したよ。自分も子どもを持った今なら、はっきりとわかる。僕らが努力してさせていることには、子どもたちも同じように、ともかく一生懸命取り組んでほしいと思うからね。

 

ロジャーは自分の子どもたちに、自分が有名選手であって、こんな成績を残していて、というような話は詳しくしていないそうです。ガールズにランキングの話を少ししたけど、ふぅん、という感じだったと最近も言ってました、笑


ナニーを何人も雇って、世界中のファンから子どもたちにもプレゼントが届いて、などとよく言われていますが、ツアーを一緒にまわっている時点で、自分の子ども時代とは明らかに違う生活、だけどそれがロジャーの子どもたちには日常。一般家庭にはない経験をたくさんさせながら、ご両親のとても常識的な考え方も同時に伝えようとしているのではないかと想像しています。

 

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love traveling~2015.6.29 CNNインタビュー その3

その2では、敗戦を引きずらないのは家族の存在も大きいということを書きました。 

 今日はその家族の存在について語っている部分を抜粋します。

 

   

 

あなたには奥さまのミルカと二組の双子のお子さんがいて、チームと、家族とツアーを回っている、それはあなたの精神面にとっていいこと?

(Interview by Christiane Amanpour, 今回抜粋個所は、2:42頃から)

 

my wife is so happy and eager for me to be happy and successful still on the tour. And my girls, who understand it all now a little bit because they're turning 6 this year, they love traveling to all these places now that they've got to know. It's the only life they know, really, on the tour. And they've gotten to have so many friends now as well everywhere. So it's unbelievably exciting. And of course it's good for my mind to -- when I come back from a match and I've lost and they're there, they don't care if you've won or if you've lost. It's great. But I don't need it as a balance. I'm a very relaxed person, on and off the court. But clearly it's been a dream come true for me to have four kids with Mirka. It's been wonderful.


僕がツアーで成功し、幸せであることが、いまだにミルカにとっても幸せなことで、それを強く望んでくれている。双子の娘たちは、今年(2015年6月時点)6歳になるから、少しずついろんなことを理解し始めている。もうそれぞれの場所にも慣れて、ツアーを回るのが好き。ツアー生活こそが彼女たちの日常で、今では世界中にたくさん友達もいる。すごくわくわくするよ。もちろん僕の精神面にとってもいいことだ。試合で負けて帰ってくると娘たちがいてくれる。僕が勝っていようが負けていようが彼女たちには関係ない、それはとてもいいこと。でも、そういうことがないと心の平静が保てないというわけでもないよ。僕はオンコートでもオフコートでもとても気楽にしているタイプだから。でも本当に、ミルカと4人の子どもを持てるなんて、夢が叶ったよね。すばらしいよ。

 

2010年から2013年までコーチをつとめていたポール・アナコーン氏が、ものすごく大きな敗戦のあとでも、すぐに子どもたちと楽しく遊んでいるのは信じられない、と言っていたことがありました。もちろん子どもたちにも助けられているのでしょうが、もともと、そういう人なんですよね。


家族の存在はとても大きくて、これも現役を続けるにはとても大事な要素。もし家族が旅をしたくないとなれば、きっぱり辞めると言い切っています。


今年(2016)のウィンブルドンのチリッチ戦、2セットダウンから、マッチポイントを3つしのいで勝ちました。怪我明けで万全でないことを考えると、フルセットで逆転勝ちというのはとても明るく、感動的な試合でした。勝った瞬間、トニー・ゴドシック氏(ロジャーのエージェント)が、ファミリーボックスで隣で見ていたミルカに、こういう瞬間を目撃できるから、ツアーを一緒に回る価値があるよね、と言ったそうです。ロジャーファミリーの、"love traveling"がこの先もずっと続きますように・・・

 

  

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five minutes later I'm fine again ~2015.6.29 CNNインタビュー その2

引き続き、2015年ウィンブルドン初日のインタビューから抜粋です。

その1はこちら 

luckynak79.hatenablog.com

 

   


あなたは冷静沈着なところがあって、他の選手と比べて、負けてもそれほど堪えていないように思えるけれど?

(Interview by Christiane Amanpour, 今回抜粋個所は、3:59頃から)

 

I think I used to be so emotional when I was younger that I learned from that. I cried too often when I was younger, all the way from, I'd say, 8 to about 20. I was unbelievably emotional. Listen, every time I lost I would basically cry, even as a pro, sometimes on court, sometimes - I couldn't manage to get off the court and then break down, which was better. But eventually I got my act together and now I take it like a man and five minutes later I'm fine again, of course. I'm also disappointed that I have to wait a year until Wimbledon rolls around or until the next Olympics comes around, takes four years. But it's just -- it goes with the territory. You can't win them all but what you can do is give it all you have and once you have no regrets I think you can accept losses also a little bit easier.

 

昔はよく感情的になっていたんだけど、そこから学んだんだ。若い時、8歳から20歳くらいの頃はすぐ泣いてしまって、それはもう信じられないくらいにね。負けるととりあえず泣く、プロになってからもだよ、コート上でもね。まずコートを去ってから泣き崩れるとかならまだましなのにね。でもついには心を引き締めた。今ではきっちり受け止めたら5分後にはもう大丈夫。もちろん、例えばウィンブルドンは終わってしまえば次は1年後、オリンピックなんて4年も待たなくちゃならないから、負けるのはがっかりだよ。でもテニス選手ってそういうものだからね。すべてに勝つことはできないけれど、すべてを出し尽くすことはできる。そうして悔いなくやり切れば、敗戦も少し楽に受け入れられると思うんだ。


ロジャーファンは負けた時こそロジャーの会見での言葉を心待ちにする、というのはよく起こる現象です。今日はダメな日だった、自分のテニスができなかった…というような「よくある回答」で終わらないロジャー会見、これも徐々にご紹介できたらと思っています。敗戦を引きずらないのには家族の存在も大きそうですね。それはまた次で。

試合中は確かに冷静沈着かもしれない、でも優勝した途端に感情を爆発させる姿、悔し泣きではなく嬉し泣きをする姿、その瞬間をファンはいつも待ち望み、願っているのです。 

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